縁あって子猫を迎え、一緒に暮らし始めた年の暮れのこと。
突然、猫が激しく嘔吐しました。
何度も何度も吐き、吐くものが無くなって血が混じった粘液まで。。
慌てて動物病院へ駆け込み、検査、注射、点滴。
けれど結局、原因は分からないまま帰宅しました。
幸いにも大事には至らず、無事にお正月を迎えることができました。
去勢手術、ワクチン接種、定期検診。
「ちゃんと全部やっているのに、何がいけなかったんだろう?」
後日猫のことを色々教えてくれていた方に相談すると、
「何かお花を食べちゃったのかもね」と一言。
――え? 花?
お恥ずかしながら、その時初めて家の中が猫に危険な植物で溢れていた事に気づきました。
年末年始は忙しく、切り花や鉢植えの植物を家に持ち込むことも多い時期。
百合や水仙が有毒だという知識はありましたが、それどころの種類ではありませんでした。
思い返せば、花をいたずらしていたし、実を転がしている姿を「可愛い〜」なんて写真まで撮ったりして
あの時、悲しい事故になっていたかもしれないのに…
本当に、なんておバカだったんだろうと。。
そもそも私は、花を扱って40年以上。
これまで何の注意喚起もせずに花を販売してきたことを花を扱うプロとして、心から恥ずかしく思いました。
それからは
家中の専門書を読み漁り、図書館に通い、専門家に話を聞き、論文を調べ、学会にも足を運びました。
獣医師さんの目線、薬学的な視点、農産物としての扱い――
さまざまな角度から植物を学び直しました。
花屋で扱う植物について、猫への影響をまとめた自分用の詳細なサマリーを作り常に情報を更新できるようにしています。
花屋で扱う植物は、季節や産地によって状態が変わります。
事故の報告があれば、「安全」とされていた植物が有毒リストに加わることもあります。
猫に対する危険度も、決して固定ではありません。
植物の状態を見極め、適切な下処理を行い、正しい情報をお伝えしていく
それは花を扱うプロとして腕の見せどころであると同時に責任でもあると感じています。
あの日、半ベソで病院に駆け込んでから、
今年で3回目の年末を迎えます。
おしゃれな写真や最新のシステムは、正直あまり使えません。
それでも
• 飼い主さんが安心してお花を飾れること
• お花が1日でも長く、美しく楽しめること
• お届けした植物が元気に育つこと
この3つを大切にしています。
私の経験とスキルが猫と飼い主さんの穏やかな毎日に少しでも役立ちますように。
そんな想いでこれからも発信を続けていきます。
どうか、末永くよろしくお願いいたします。